土壁下地軸組の設計・施工
軸組の考え方
仕口、貫・楔
軸組製作の要点は仕口(接合部)にあります。仕口の役割は、
 1.変形に対して材の「めり込み」などにより抵抗する
 2.変形が進んでも接合部の状態を維持する(外れない)
の二点です。胴付き、ホゾ、込み栓などに留意してください。また、木材の乾燥は欠かせない前提です。
※胴付き:材と材が密接する部分を指します。仕口の抵抗力となる「めり込み」は主にここで発生します。
※ホゾ:材の中に差し込まれる部分を指します。ここには変形が進むにつれて「曲げ」と「せん断」が発生するので、それを考慮した断面と長さが求められます。短ホゾだと効果が弱いので、ある程度の長さ(長ホゾ)が必要です。
※込み栓:材を引き抜こうとする力に抵抗するために土台や梁の側面から「長ホゾ」を貫通して打ち込まれる木栓です。引抜き力が小さい個所には必要ありません。
壊れ方を考えましょう
仕口の「壊れ方」を考えましょう。水平力が働く耐力壁の両端の柱には引抜き力が発生しますが、これに対する抵抗力として次の3つが考えられます。
①土台や梁の割裂  ②ホゾのせん断耐力 ③込み栓のせん断耐力
壊れる順番は③-②-①が理想的です。ホゾの寸法や込み栓の大きさ、打ち込む位置はこれを意識しながら決める必要があります。
土壁下地軸組
土壁下地軸組参考図は柱間1間の場合を示しています。柱間半間の場合は、中央部タテ貫を柱に置き換えて考えてください。
柱は長ホゾを標準とします。
込み栓はN値計算法などにより引抜力の小さいことが確認された箇所には必要ありません。
<土壁下地軸組参考図>
貫の寸法
貫の標準寸法は15㎜×105㎜です。貫厚を大きくすると軸組の抵抗力は上がりますが、貫部分で土の塗厚が薄くなり、壁が割れやすくなる(抵抗力も落ちる)傾向が見られるので注意が必要です。
貫の割付けと差込み代
貫は間隔が910㎜以下、3本以上となるように割付けて下さい。垂れ壁や腰壁がある場合には鴨居や窓台近くに必ず貫を設けるようにして下さい。貫の効果は柱内への差し込み長さに比例するので出来る限り長くするよう心がけてください(貫通が理想的)。
チリしゃくりと間渡し竹差込穴
チリしゃくりは壁土の収縮による問題を防ぐだけでなく、塗厚を決める定規としての役割があるので必ず設けるようにして下さい。幅は3分(9㎜)以上、深さは2分(6㎜)程度が適当です。
間渡し竹には土壁と軸組を一体化する役割があります。間渡し竹の間隔は1尺(303㎜)程度とし、差込穴の直径は5分(15㎜)または6分(18㎜)とします。必ず土台を含む軸組の4辺に設け、間渡し竹を確実に差込んで下さい。
釘打ち
貫と間渡し竹の釘打ちは、壁の重量を支え、壁の変形を防ぐために有効です。
貫はN45、間渡し竹にはN38が適当です。突き出た釘の先端部は必ず折り曲げて下さい。
編み縄
小舞竹は、藁縄、シュロ縄、麻縄などを用い、ゆるみのないように編んで下さい。
土壁の施工
1. 荒壁、裏返しは特に四隅を入念に塗る。
2. 荒壁が裏側に十分はみ出していることを確認する。
3. 大直し土は、荒壁の乾燥収縮による隙間を確実に埋めるように塗る。
4.香川県で一般的に使われる中塗り土は圧縮強度が高く、厚く塗れば壁の耐力は上がる。
5. 柱は長ホゾを原則とする。
6. 間渡し竹は差込穴に確実に差し込む(土台にも差込穴が必要)。
7. 貫は柱に深く差し込み(貫通が望ましい)、楔で確実に固定する。
8. 貫を厚くするとその部分で土の塗り厚が減り、貫に沿って割れが出やすい。
9. 藁などを用い貫伏せを必ず行う。
▲ 四隅や周辺部は特に入念に塗る。
▲ 荒壁は小舞の裏側まではみ出すように塗る。
▲ 間渡し竹はタテ、ヨコともに確実に差し込む。
▲貫部分は割れやすいので藁などで補強する。
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