土壁ネットワーク 香川県における壁土の実態調査

土壁ネットワーク 香川県における壁土の実態調査

試験の概要について

 

 

香川県における壁土の実態調査

 

 

 

 

 

 

目的

 

 

 

 

香川県において一般に使用される壁土について、特性および圧縮強度に影響をあたえる要因を把握すること。

 

 

 

試験材料

 

 

・ 荒壁土は、香川県内6社の壁土製造業者から提供されたものを使用した。
・ 中塗り土は、市販のおろし土を使用した。

 

 

 

試験方法

 

 

・ 「粒度分布」:JIS A 1204:2000(土の粒度試験方法)
・ 「密度試験」:JIS A 1202:1999(土粒子の密度試験方法)
・ 「液性・塑性限界」:JIS A 1205:1999(土の液性限界・塑性限界試験方法)
・ 「ワラスサ混入割合」:試験体に練り混ぜられているワラスサの量を一定質量の壁土に対する割合で表す。
・ 「壁土圧縮試験」:土塗壁・面格子壁・落とし込み板壁の壁倍率に係る技術解説書

 

 

 

 

 

 

 

(1) 粒度分布

 

 

○香川県内で土壁に使用される壁土は、「ねばい土」(粘性度の高い土)と「さくい土」(粘性の低い土)を調合してつくられるが、産出地が異なっても概ね粒度のばらつきは少ない。また、2種類の土(粘性の高い土と低い土)を調合することにより技術解説書に示された品質の要件を満足し、ばらつきを少なくすることが可能である。
○香川県内において産出される荒壁用の土の粒度分布は、施工実績のある壁土(京都産の土・技術解説書113ページ)と同等の微粒分を含む壁土であることが確認できる。

 

〈粒径加積曲線〉

 

 

(図の見方)
・ 線の傾きが大きいほど、その部分での粒径の割合が高いことを示す。
・ 曲線が左に寄ると粒径の小さな粒子が多く、右に寄るほど粒径の大きな粒子が多くなる。
・ 曲線が全体的になだらかで凹凸が少ないほど、大小様々な粒子が均等に分布し、粒子間にできる隙間をさらに小さな粒子が埋めるという関係が効果的に働くため、バランスの良い粒度分布であることを示す。

 

 

● 香川県内で土壁に使用される壁土は、産出地が異なっても概ね粒度のばらつきは少なく、壁土に必要な品質要件を満足しているといえる。

 

 

 

(2) 藁スサ(わらすさ)混入量と圧縮応力度

 

 

○藁スサの混入が増加することにより、気乾密度、圧縮応力度ともに減少する。これは藁スサを混入することによって壁土内部に空隙が生じるためである。
○藁スサが混入している状態において、壁土の気乾密度が高くなると壁土強度も増加する傾向にある。

 

〈圧縮応力度・気乾密度一藁スサ混入量〉

 

 

 

 

 

 

●藁スサの混入量が増加すると壁土強度は低下する。

 

 

 

(3) 練り置き土と圧縮応力度

 

 

○ 練り置き日数の経過に対して気乾密度が上昇し、194日程度でほぼ一定となる。
○ 練り置き期間が400日から藁スサが目視で確認できなくなった。
○ 練り置くことで圧縮強度の向上が期待できるのは400日程度である。

 

 

〈練り置き日数-圧縮応力度、藁スサ混入割合〉

 

 

 

● 練り置き土とは、壁土の強度を上げるために藁スサを練り混ぜながら一定期間寝かせた土のことである。練り置くことで藁スサが腐敗し、藁スサの芯の繊維質を残し密度が高くなることで強度が増加するといわれている。
● 0日から47日においては、試験体作成時に型枠にそのまま流し込んだ状態で製作していたが、ひび割れが多く発生し、壁土が本来固まろうとする凝集力に影響を与えたものと思われる。87日以降は試験方法を改善した。
● 試験期間は、2006年4月23日?2007年11月1日
● 試験では、藁スサの追加は行っていない。

 

 

 

●練り置きを行うことで、藁スサが壁土となじみ強度が増加する。
●練り置くことで圧縮強度の向上が期待できるのは400日程度である。

 

 

 

 

<参考>壁土の圧縮強度

 

 

壁土の圧縮強度は、「土塗壁・面格子壁・落とし込み板壁の壁倍率に係る技術解説書/(財)日本住宅・木材技術センター」(25p)で、標準試験方法は確立されていないが、同解説書により例示する試験方法または同等の試験方法により、右の表の数値を満足するものと記述している。

 

 

(参考〉
一般に使われているコンクリートの圧縮強度210kg/cm2は約「21N/mm2」で、荒壁に求められる圧縮強度「0.30N/mm2」の約70倍に相当する。

 

 

 

 

 

 

 

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